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2017 年度 実施状況報告書

一般均衡モデルの理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K03362
研究機関明治学院大学

研究代表者

鈴木 岳  明治学院大学, 経済学部, 教授 (80251734)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2020-03-31
キーワード格差原理 / 外部的収穫逓増 / 公正としての正義の / 新古典派経済学
研究実績の概要

2017年度は本研究の交付申請書「研究実施計画」に記載した二つ目の研究課題である、政治哲学についての研究に関して進展があった。具体的には、J.Rawlsの提唱した「格差原理」を実現するメカニズムを、私の過去の理論経済学の研究において発展させた「外部的収穫逓増」のアイデアを応用することで、明らかにすることが出来た。研究成果は2017年度の日本哲学会(一橋大学)で発表され、Theoretical Economics Letters 誌に掲載予定である。また、本学経済学部の紀要「経済研究」に人権と国家主権との間の哲学的関係を解明する論文「国際正義と人権」を発表した。
交付申請書「研究の目的」にも記載した通り、Rawlsの政治哲学理論、即ち「公正としての正義」は、新古典派経済学及びゲーム理論との間の強いアナロジーの下に建設された。本研究課題はこの方針を引き継いで行われる。それ故に、一般均衡理論の研究と同時に公正としての正義をも併せて研究課題としているのである。
初めに述べた外部的収穫逓増を応用した格差原理のimplementationに関する成果は、その第一歩と考えられる。それは、Rawlsにおいては図表を用いて表現されただけの単なる直観的なアイデアに対して、簡単ではあるが厳密な理論モデルからRawlsが主張した「寄与曲線」を導出することによって、彼の哲学的直観に理論(経済学)的基礎付けを行うのである。
「格差原理」の発見と提唱はRawlsの成し遂げた最も独創的な哲学的寄与であり、公正としての正義の核心である。しかし、その原理は果たして「正義の原理」として現実の社会において充足可能であるか、即ち実現可能性であるのか、我々は従来確信を持つことが出来なかった。本研究によって、我々は格差原理に対してより強固な確信が得られたと信じる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

政治哲学の研究に対して当初に予想していた以上に良い成果が得られたこと。また現在、「公正としての正義」に関する学内の講義を通じて、この哲学理論に関する自信の理解が深まったことによって、以前には漠然としていた「人権」に関する哲学的アイデアがより具体性を伴って実現可能であることが分かってきたため。

今後の研究の推進方策

一般均衡理論については、従来の方針で進めていきたい。2018年度には著書 General Equilibrium Analysis of Production and Increasing Returns の改定を予定している。政治哲学では現在得られつつあるアイデアを発展させて、より考えに精密な表現を与えていきたい。

次年度使用額が生じた理由

2017年度には、海外での学会発表を行わなかったのでその分支出が少なかった。しかし2018年度には英文の著書の改定を予定しており、その英文添削に相当の費用が見込まれる為に、昨年度の未消化分は本年度に解消解消する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] A Simple Model of the Difference Principle2018

    • 著者名/発表者名
      Takashi Suzuki
    • 雑誌名

      Theoretical Economics Letteres

      巻: 8 ページ: 1869-1888

    • DOI

      10.4236/tel.2018.810123

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 国際正義と人権2018

    • 著者名/発表者名
      鈴木 岳
    • 雑誌名

      明治学院大学「経済研究」

      巻: 155 ページ: 13-45

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 格差原理の簡単な模型2017

    • 著者名/発表者名
      鈴木 岳
    • 学会等名
      日本哲学会

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公開日: 2018-12-17  

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