与えられた状況において人々に選択すべき行動を指示する規範の性質を、情報的基礎と受容可能性の観点から考察した。採るべき行動の指示には、状況に含まれるさまざまな情報の中でどれに注目し、どのように判断を下すかをあらかじめ指定しておく必要がある。同様の状況で異なる判断を下してはならないという意味で合理性と整合性を持つことが当然要請されるし、規範に従うことが当人に多大な犠牲を要求するものであっても正当性を持たない。そこで本研究課題では、さまざまな状況において有効性を発揮する諸規範原理を総合的に考察し、今日頻繁に利用されている規範原理を含んだ諸原理を体系的に取り扱うことができる規範理論の構築を試みた。
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