研究課題/領域番号 |
15K03365
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
井上 智洋 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (90547093)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2021-03-31
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キーワード | 内生的成長 / ニューケインジアン / 内生貨幣供給 / ゼロ金利制約 |
研究実績の概要 |
研究計画に「内生的貨幣供給の仕組みを統合モデルに導入し、量的緩和政策の効果について分析する」とある。2019年度は、内生的貨幣供給理論を含む経済理論であるModern Monetary Theory(MMT,現代貨幣理論)について研究し、その成果を井上智洋(2019)『MMT 現代貨幣理論とは何か』(講談社)にまとめた。 特に本書の第4章「中央銀行は景気をコントロールできるのか?」で、資金需要に応じて貨幣量が決定されるという「内生的貨幣供給理論」と中央銀行の貨幣供給によって貨幣量が決定されるという「外生的貨幣供給理論」が、本質的な対立軸をなしていないと主張している。 そのうえで、主流派経済学とMMTとの本質的な違いが、利子率と資金需要の関係が不安定かいなかにあるということを明らかにした。したがって、資金需要に応じて貨幣量が決定されるという内生的貨幣供給の仕組みを導入しても、プラス金利経済では金融政策は有効であり、ゼロ金利政策でそれが無効であるという狙い通りの帰結が導かれるだろう。本書の考察を基に、「プラス金利経済とゼロ金利経済のそれぞれに定常状態があるような複数均衡モデル」に関する論文を書き進めたい。 「ラーニング・バイ・ドゥーイングモデル」と「ニューケインジアンモデル」を統合したモデルを構築し既に論文にまとめているが、まだジャーナルへの投稿はできていない。 「クオリティー・ラダーモデル」や「人的資本モデル」などの内生的成長モデルと「ニューケインジアンモデル」との統合についても論文を書こうともくろんでいるが、全く手つかずの状態である。 別件の人工知能が経済に与える影響を論じる仕事の依頼が多く、本研究は全体的にあまり進んでいない状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「人工知能が経済に与える影響」をテーマにした講演やインタビュー、執筆などを依頼されているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題の進捗が遅れているので、講演やインタビュー、執筆などの仕事を減らすことによって、進捗を速めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
別件の人工知能関連の仕事が忙しく研究が進まず、研究費をあまり利用しなかったので、補助事業期間延長を行った。パソコンやソフトウェア、書籍などを購入する予定である。
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