研究実績の概要 |
本研究の目的は、人々が適応的学習によって期待形成するとき、マクロ経済の安定性および金融政策の有効性がどのような影響を受けるかを明らかにすることである。平成27年度は、交付申請書「研究の目的 テーマⅠ」(異質性の存在しない適応的学習におけるマクロ経済均衡の安定性)について分析すると同時に、関連研究の研究成果を国内外に発表することに取り組んだ。 具体的には、第1に、異質性の存在しない適応的学習におけるマクロ経済均衡の安定性を明らかにした。具体的には、Evans, McGough (2005) の単変量マクロ経済モデルをベースとして、様々な学習形態(学習速度の高低、情報量の多寡など)におけるサンスポット均衡の安定性を明らかにした。第2に、関連研究として、Nakagawa(2010)モデルを標準的な多変量マクロ経済モデルに拡張し、異質の適応的学習におけるファンダメンタル均衡の定性的性質を明らかにした。そして、学習の異質性が高まるにつれてファンダメンタル均衡の安定性が高まることを明らかにした。 それぞれの研究成果を国際経済学会(Western Economic Assocation Internationl, Royal Economic Society)において発表し、後者の研究に関する論文は、国際経済雑誌(Journal of Economic Dynamics and Control、査読付き)に公刊された(Nakagawa, 2015)。さらに、アメリカ経済学会に出席し、外国研究者の最新の研究成果を確認した。これらの活動を通じて、研究方法を再検討すると同時に、外国研究者と直接的に交流し、将来の共同研究について打ち合わせすることができた。
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