本研究の目的は、人々が適応的学習によって期待形成するとき、マクロ経済の安定性および金融政策の有効性がどのような影響を受けるかを明らかにすることである。平成30年度は、前年度(平成29年度)から継続した交付申請書「研究目的 テーマⅢ、Ⅳ」の分析を完了し、その研究成果を国内外の経済学会に投稿・発表し、国際経済雑誌に投稿した。 研究内容として、「テーマⅢ」の分析ではサンスポット均衡の発生を抑えることができる金融政策のあり方をを明らかにした。「テーマⅣ」の分析ではテーマⅢのモデルに金融市場の不完全性を導入し、金融市場の不完全性が異質の学習を通じて経済の安定性、金融政策のあり方に影響を与えることを明らかにした。さらに、これらの研究から派生して、サンスポット均衡が現実の経済攪乱をどのくらい説明することができるかを明らかにした。 これらの結果を、理論経済学の研究会として国内最大級のSummer Workshop on Economic Theory(平成30年8月4日、北海道大学)で発表し、他の経済学者のコメントを参考にして研究内容を検討・改善した。その成果を、国際経済学会としては最も著名なNorth American Meeting of Economic Society(令和元年6月27日~30日開催予定、シアトル)に投稿し、最近、発表許可を得ることができた。 それと同時に、研究成果をマクロ金融経済学に関する国際経済雑誌として代表的なJournal of Monetary Economicsに投稿している。また、サンスポット均衡の説明力に関する研究成果を所属機関の紀要に発表した。
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