本研究では、スラッファ編『リカードウ全集』刊行(1951-73)以降の日本のリカード研究を検討することを通して、日本のリカード研究者たちがスラッファのリカード解釈を批判しながら、労働価値理論の役割を基礎とするリカード解釈を確立し、独自の貢献を果たしてきたことを示すとともに、同じ時期、日本の研究者の中にも、スラッファの解釈または新古典派の解釈に近いリカード解釈を主張し、顕著な貢献を果たした者もいたことを示し、これらを踏まえて、欧米のリカード研究には見られない日本のリカード研究の独自性と多様性を明らかにした。
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