本研究は、価格理論と市場経済の発展、国際経済学の理論・政策の研究、経済思想史研究等に多大な貢献をしたカナダ出身のアメリカの経済学者ジェイコブ・ヴァイナー(Jacob Viner, 1892-1970)の経済思想を以下の諸点から検討した。(1)価格理論と市場経済、(2)国際経済学の研究、(3)ブレトンウッズと戦後秩序、(4)社会秩序における摂理の役割、(5)自由主義政策と中庸。発表論文・研究報告では、ヴァイナーが、イギリス古典派以来の伝統的な「政治経済学」と通底する、経済理論と経済政策のバランスが絶妙にとれた“中庸”の経済思想を有していたことを明らかにした。
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