研究課題/領域番号 |
15K03379
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
福島 知己 一橋大学, 社会科学古典資料センター, 助手 (30377064)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シャルル・フーリエ / 草稿研究 / 生存権 / 書誌学 |
研究実績の概要 |
平成27年度に予定していた作業は、1、資料探索・収集のための調査旅行の実施、2、フーリエ全集の電子テキスト化、3、フーリエに関連する文献リストの作成である。 1、2月に行った調査旅行においては、フランス国立公文書館(パリ郊外ピエフィット・シュル・セーヌ)、ローヌ県・リヨン都市圏公文書館(リヨン)にて資料調査を行い、フーリエのいくつかの草稿を確認した。 2、フーリエ全集をOCRを使って読み取り、電子テキストの作成を行った。 3、一橋大学社会科学古典資料センターが所蔵するオーギュスト・コントの文献およびシャルル・フーリエの文献を調査し、リスト化した。 上記の作業と並行して、研究成果も提出した。多様な切り口からシャルル・フーリエの思想を分析する作業の一環として、哲学・倫理学的な視野から検討を行った。福島知己「シャルル・フーリエにおける旅行記的イメージの利用」、福島知己「恋愛の常識と非常識:シャルル・フーリエの場合」はその成果である。さらに、分析のための切り口のひとつとして生存権思想史の検討を開始し、手始めに生存権の日本における先駆的理論家である福田徳三について評論を行った。福島知己「極窮の図書館:福田徳三の大学図書館観」がその成果である。また、文献調査手法を検討するために、西洋古版本を対象にした書誌学の研究を継続的に行っている。福島知己「R. A. Sayce「1530年-1800年に印刷された本の植字慣行と印刷地の特定」の検討(2)」は平成27年度におけるその成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度に行う予定になっていた資料調査、電子テキストの作成、文献リストの作成は、おおむね順調に進展している。 調査出張において期待していた資料の所在が確認できた。そのうち分析する時間的余裕のなかった資料については電子データ化して送付してもらえるよう手配している。 ただし文献リストの作成は小範囲にとどまっている。 また、既存の版をもとにして『産業の新世界』の翻訳にも着手した。 さらに、当初の予定よりも早めて、いくつかの研究成果を提出することができた。
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今後の研究の推進方策 |
資料調査は今後も継続的に行う予定になっているので、さらに範囲を広げて、今回の研究プロジェクトに関連する資料を探索していきたい。複製を依頼した資料が到着したらその分析をさらに進める予定である。 電子テキストの作成は、OCRの性能に限界があるので、人間の眼によって誤りを減らす作業をさらに続ける必要がある。 校訂には初期草稿や他のテキストとの比較が必要であるが、上記の作業が終わるのを待たず、先行して翻訳を進める予定である。 文献リストの作成は調査対象機関を拡大しつつ継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
1、飛行機代の関係で予定よりも旅費が少なくて済んだため。2、資料の複製を依頼中であり、未払いのため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、資料の複製費を残したうえで、調査出張の旅費の充実に充てたい。
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