本研究は、シャルル・フーリエ『産業の新世界』を、その成立過程に遡って理解することを目的としたものである。同書は19 世紀前半のフランスの代表的な初期社会主義者の作品として著名であるが、全体像の分析は数少なく、邦語への全訳も果たされていない。本研究では、フランス国立公文書館に保管されているフーリエの草稿マイクロフィルムを参看するとともに、初版と全集版の相違を検討することによって、『産業の新世界』成立当時のフーリエの問題意識から後年の弟子たちによる改変までを総覧し、書誌学的な検証を行った。研究の締め括りとして、フーリエ研究の深化を目指し、国内外のフーリエ研究者を中心にした研究会を開催した。
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