研究実績の概要 |
本研究の目的であるアーサー・レオン・ボウレイ(Arthur Lyon Bowley, 1869-1957)とウォルター・レイトン(Walter T. Layton, 1884-1966)のアルフレッド・マーシャル(Alfred Marshall, 1842-9124)との継承関係を研究するため,平成27年8月に9日間の日程で,イギリスのLSE(ロンドン大学)とブリティッシュ・ライブラリーでボウレイとレイトンの資料調査を実施した。LSEには,ボウレイ文書のコレクションが存在する。ブリティッシュ・ライブラリーにおいては,LSEやケンブリッジには存在しない資料の収集も行うことができた。 初年度はマーシャルの経済学方法論の研究を行い,平成27年7月にマルサス学会で「マーシャルの経済学方法論に関する一考察」というタイトルで報告を行った。本報告では,マーシャルのリカードウ(David Ricardo, 1772-1823)批判を検討し,リカードウの方法論を批判したバジョット(Walter Bagehot, 1826-1877), マーシャルから影響を受けたボウレイ,ネイヴィル・ケインズ(John Neville Keynes, 1852-1949)にも言及しながら彼の経済学方法論について考察を行った。本報告を学会での質疑応答やコメントを参考に原稿としてまとめ,マルサス学会に投稿した。本原稿は受理され,平成28年3月『マルサス学会年報』(第25号)に掲載された。 マーシャルの有機的成長と組織の問題の検討を行い,平成28年7月メルボルンのFederation Business Schoolで開催されるオーストラリア経済学史学会(HETSA)にComposite Quasi-rent in Marshall's Organic Growth Theoryというタイトルで報告を予定している。
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