• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

ドイツ的経済言説: 形成、受容とその後

研究課題

研究課題/領域番号 15K03385
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

池田 幸弘  慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (80211720)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードドイツ経済思想 / ドイツ歴史学派 / カール・メンガー / オーストリア学派 / アダム・スミス
研究実績の概要

ドイツ経済思想についての研究の一環として、本年度は、ドイツ経済思想の日本への影響を中心に考察した。具体的には、ドイツ留学歴を有するオランダ系アメリカ人経済学者、ギャレット・ドロッパーズの経済思想、とくに彼の慶應義塾における財政学講義を中心に研究報告を行った。つぎにあげる報告がそれである。報告名 2015年度第2回経済学史学会関東部会 「ギャレット・ドロッパーズの経済思想:『財政学講義』を中心に」
報告では、1896年になされた財政学講義の筆記ノートを題材にして、シュモラーやワグナーの経済思想がどのような形でドロッパーズに影響を与え、それが講義の中身にどのような形で結実しているかをみた。さまざまな質問が出たが、とくに、つぎの論点は重要である。一 当時の慶應における福沢の人事面での影響はどの程度あったのか。また、ドロッパーズと福沢の思想はかなり違っているように思えるが、福沢自身はそれについてどのように考えていたのか。二 財政学講義では税制も問題になっていて、そのなかでスミスの課税原則についても言及があった。スミスの考えは比例税だというのが報告者の考えだが、簡単にそのようにはいいえないのではないか。むしろ、スミスの考えは福祉国家論に近いのではないか。これらの諸点については、報告後の質疑応答のなかで、リプライを行った。全体として、本研究を推進させるのに、きわめて有効な質疑応答であった。また、これに先立ち、一般向けではあるが、つぎの形で、講演を行った。この講演は、福沢の政治経済思想とドロッパーズのそれとを比較考察しようとするものである。講演名 2016年1月10日第181回福澤先生誕生記念会講演『福澤諭吉とギャレット・ドロッパーズ』大学部開設250年に寄せて
この講演については、つぎの形で、講演録が残されている。講演録 『福澤諭吉とギャレット・ドロッパーズ』大学部開設250年に寄せて 三田評論2016年3月号 p.40-48

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概ね順調に推移している。ドイツ経済思想の我が国への導入については、すでにふれたように学会報告を行った。ただし、慶應義塾大学図書館所蔵のヴィルヘルム・ロッシャーの講義ノートのスキャンニングは、まだ手つかずの状況にある。これについては、次年度着手し、研究の推進に役立てたい。

今後の研究の推進方策

2016年度六月に行われる、下記の学会に出席し、報告する予定である。報告タイトルは、Division of Labor and Economic Development: A Series of Communitarian Interpretation
(邦訳タイトル 分業と経済発展: 共同体主義的解釈の流れ)。学会名は、Associazione Italia per la Storia dell’ economia politica (経済思想史イタリア連合)。開催場所: カタニア大学。六月二十三日から二十五日まで。すでに論文概要は提出済みであり、報告も認められている。当該論文は、必要に応じて欧文雑誌への投稿などを考えている。また、最終的には本研究プログラムの全体の成果は欧文図書として公刊予定であり、そのために既発表論文の改訂、拡充などを適宜行うことになる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 「ギャレット・ドロッパーズの経済思想:『財政学講義』を中心に」2016

    • 著者名/発表者名
      池田幸弘
    • 学会等名
      2015年度第2回経済学史学会関東部会
    • 発表場所
      立教大学(東京都・豊島区)
    • 年月日
      2016-03-12
  • [図書] 近代日本と経済学2015

    • 著者名/発表者名
      池田幸弘・小室正紀 編著
    • 総ページ数
      416
    • 出版者
      慶應義塾大学出版会

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi