ドイツの経済思想はかつては一世を風靡した経済思想で、少なくとも第一次大戦勃発前までは支配的だったが、今日その意義を理解するものは少ない。ドイツの国際的な地位、とくにEUにおけるそれは依然として高いが、かつてのそれとは比肩すべくもない。また、いわゆる「グローバリゼーション」によって経済学の標準化が進み、各国、各地域固有の思想、とくに経済思想というものはなくなってきている。このような経済学の在り方は必然ともいえるが、国や地域が重要な役割を果たした時代の政治経済思想に思いをはせ、逆に現代の経済学の在り方を照射することは必要な作業である。本研究計画では、ドイツ経済思想の生成、受容、変容を明らかにした。
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