パネルデータの単位根検定において発生する問題(①パネルデータの構成系列のどれが定常であるかを特定できない、②多重性問題)について、有力な解決法として考えられる多重検定の適用を行った。特に、以下の3点に注力した。①パネル単位根仮説の検定の際に起こりうる条件設定の下での検定パフォーマンスを検証した。②逐次多重検定において、第1段階で棄却される仮説に対応するデータ系列を定常共変量として再利用する検定を提案し、その検定特性を考察した。③①で考察した検定手法やその拡張手法について、現実データへの適用を行った。その結果、①②③のどの考察においても、多重検定が実用に耐えうる有力な方法である証拠を得た。
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