研究課題/領域番号 |
15K03404
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
村上 雅俊 阪南大学, 経済学部, 准教授 (60511673)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 貧困 / 生活最低限 / 社会調査 |
研究実績の概要 |
平成27年度においては,研究実施計画に記載した,「調査対象者の現在の生活によって最低生活費に関する意識が違うことが想定される」という点を明らかにするため,インターネット調査を実施した。調査の手法としてRCT手法を用いた。 実施計画執筆当初は,標本規模を1000としていたが,調査対象者の様々な属性と意識の差異の関連を見るために,調査項目が多くなり,予算の都合上,標本規模を722とせざるをえなかった。 病気あるいはけがなどで収入を得ることができなくなった場合に最低生活費として12万円を受け取ることを調査対象者には想定してもらった。そして,12万円を自身が受け取る場合と他人が受け取る場合で,当該金額(12万円)が高すぎるのか低すぎるのかを5段階で聞いた。 調査結果は,10%有意水準で両者に差が出ることとなった。すなわち,他者が受け取る12万円は自身が受け取る12万円と比較して高いということである。 現在,この調査結果について論文・報告資料を鋭意作成中である。生活保護制度は,誰しもが等しく陥る可能性のあるリスクに対して,国民全体で備え,実際にそのリスクに直面した者に対して国民から集めたお金を財源として,最低限度の生活を保障する制度である。調査結果を様々な側面から検討する必要がある。同じ12万円で自身が受け取る場合は少ないと考え,一方で,他者が受け取る場合は高いと考える。原因として1つ考えられるのは,制度に対する無理解である(ほどこしと考えている)。 現在得られている結果をさらに掘り下げるために,平成28年度は標本規模をさらに大きくした調査を計画する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
どのように調査を実施すべきかについての検討,そして具体的に調査項目を設定するために,かなりの時間を要した。そのため,調査実施時期が平成27年度後半にずれ込んだ。 調査結果は概ね満足いくものとなっているが,調査結果を論文・学会報告という形でアウトプットすることができておらず,現在まで進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究推進方策の第一は,平成27年度に得られた調査結果を論文・学会報告という形でアウトプットし,評価を得ることである。第二は,平成27年度の調査とそれに対する評価を受けて,さらに調査項目を精査し,標本の規模を大きくした調査を実施することである。 このようにすることで,より頑健な結果を得ることができ,またそれは,現実にある社会問題に対して大きく貢献するものであると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査を実施したが見積額・請求額が調査前の予算残額より1468円低かった。
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次年度使用額の使用計画 |
調査規模を平成27年度よりできるだけ大きくするために,次年度使用額1468円を平成28年度調査予算に加えることを計画する。
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