研究課題/領域番号 |
15K03407
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研究機関 | 独立行政法人経済産業研究所 |
研究代表者 |
小西 葉子 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 上席研究員 (70432060)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サービス産業 / 対個人サービス業 / 生産性 / 経済モデル / 計量モデル |
研究実績の概要 |
本プロジェクトでは、サービス産業の生産性の計測及び産業構造を明らかにすることを目的とする。サービス産業は近年、GDPに7割りを占めており経済活動にとっても労働市場の大きさからも非常に業種である。しかし、データ入手の困難さや主要産業と認識されなかった経緯から、先行研究は稀少である。ここでは、サービス産業の各業種の付加価値の源泉を明らかにした上で生産性や効率性計測のためのモデル構築をし、大規模マイクロデータを用いた統計解析を行う。 本年度は、対個人サービスの業態や特徴について、これらの業種についての研究の蓄積が豊富なマーケティングや経営の視点を加えて研究を行った。念頭に置く業態は、客との接点が多く、その提供技術に提供者のスキルと顧客の状態が関わり、技術の評価が顧客の経験と主観に依存するような美容業、医療、介護、教育といった個人向けの業種である。次に、国際的な視点でサービス産業・サービスの役割を理解するために、Global Value Chains(国際的な付加価値の連鎖:GVCs)におけるサービスの役割について研究を行った。特に2000年代に入って、GVCsの枠組みで、各国が各生産工程の中のどこでどれ位の付加価値を得ているかに関する研究が盛んになっているが、その多くが製造業に関する研究である。そこで本研究では、まずわが国の財の生産過程におけるサービスの役割に焦点を当てて、GVCsの現状を概観し、観光関連産業についての分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトでは、サービス産業の生産性や技術を計測するための新たな理論や指標を開発し、その実証分析を行うことを目的としている。対象としている業種は、対個人サービス業、小売業、運輸業、宿泊業なである。昨年度、生鮮食料品を販売する小売業に関する経済モデルと実証分析を行った。今年度は、対個人サービス業の中の美容業についての分析、また宿泊業、飲食業、小売業と密接に関連する観光業に関する研究を行ったため、おおむね順調に研究が進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降も随時、研究成果の公表を論文投稿や学会などでの報告により行っていく。特に宿泊業、運輸業に関する分析を中心に行っていく予定である。サービス産業を対象とした研究は、業種ごとに新しい経済モデルを作成し、指標を作る必要もあり、同分野の研究者やサービス現場との交流を引き続き行いながら研究を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた、ソフトウェア購入とデータ購入を翌年度に行うことになったため。 また、出張旅費を他の研究費から支出することになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度の助成金申請の計画遂行に加えて、国際学会への参加、データの購入を行う。
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