研究課題/領域番号 |
15K03408
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研究機関 | 公益財団法人統計情報研究開発センター |
研究代表者 |
美添 泰人 公益財団法人統計情報研究開発センター, その他部局等, 研究員 (80062868)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 法人企業統計 / 事業所・企業統計 / 経済センサス / ミクロデータ |
研究実績の概要 |
財務省が作成する「法人企業統計(年報)」で集計される法人数と,総務省の作成してきた「事業所・企業統計」および現在の「経済センサス(基礎調査,活動調査)」で集計される法人企業数には無視できない相違がある.特に,小規模,非製造業で大きな差があり,マンションの1室で行われるSOHOなどの事業所が,集計されていない可能性が指摘されている.総務省(総務庁)と財務省(大蔵省)の法人数について,母集団概念および調査時点の調整が必要とは言え,両調査の差は,昭和56(1981)年の53万法人から一貫して増加しており,最後の事業所企業統計調査が行われた平成18(2006)年では120万法人を超えている.法人企業統計に対する総務省統計の比率も以前は70%以上の時期があったのに対して,2006年では55%程度まで差が開いている. なお,法務省の新規登記法人名簿を利用できるようになった平成21年経済センサス(基礎調査)では差が縮小していることは,新設法人の把握が改善した効果の可能性が高いが,明確な根拠は確認されていない. 本研究では,二つの統計調査の体系上,どのような理由で法人企業数に差が生じるのか,その原因に関する仮説を検証するとともに,適切な補正の方法と利用方法を例示することにある. 平成28年度は,財務省および総務省から入手した法人名簿を利用して,一部の地域において双方の名簿に記載されている法人の照合作業を実施した.その結果にもとづいて,次年度の分析手法の再点検を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析のためには,調査の対象とされた資本金5億円以上の法人に関する名簿および主要な財務指標が必要である.そこで,財務省の「法人企業統計」と,総務省の「事業所・企業統計」および「経済センサス(基礎調査,活動調査)」のデータを入手するために,統計法の手続きにしたがって準備を進めた.平成28年3月時点で,財務省から基礎データの提供を受け,データベース作成の準備を進めた.また,総務省統計局のデータのうち「事業所・企業統計調査」および「経済センサス(基礎調査,活動調査)」については,平成28年10月時点にすべてのデータがそろって第一段階の名簿照合作業を実施した.その段階で,追加が必要な情報が明らかとなり,財務省から,再度,法人企業データの提供を受けることができた.平行して,本研究の目的である「二つの統計調査の体系上,法人企業数に差が生じる原因に関する仮説」を検証する分析計画の点検を進めた.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には,総務省統計局の「事業所・企業統計調査」および「経済センサス(基礎調査,活動調査)」の調査結果に関して,申請したミクロデータはすべて提供を受けることができ,第1段階として平成18年の事業所・企業統計調査を利用した財務省データとの照合を特定の地域について実施した.その結果に基づいて,規模・業種によって法人企業の名簿整備状況の相違を点検している段階である.来年度は,すべての地域に分析対象を拡大するとともに,平成21年度における企業の継続・廃業・新設の状況を確認することによって,時系列的な変化を把握する計画である.
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次年度使用額が生じた理由 |
残高が少額であり,あえて年度内に全額使用する必要がなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算と合わせて研究に必要な備品,旅費等に利用する.
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