自己雇用生産者家計による景気変動安定化作用について,OECD加盟29ヶ国を対象に大後退前と大後退後の2時期にわたり,労働雇用・生産物産出両面において検証した.その結果,被雇用者数の変動が家族雇用によって吸収される割合は,大後退前は35.77%であり,大後退後は39.01%であった.他方,失業に反映されたのは大後退前は33.74%,大後退後は53.13%であった.また,これらの対応形態には地域差が存在し,旧計画経済圏と地中海圏は主として越境移出入によって解消し,英諸島と北東アジア圏は家族雇用に吸収させた.米州圏と大洋州圏は主として失業に反映させ,北・西欧圏は失業と越境移出入に反映させた.
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