量的緩和は近年注目を集める非伝統的金融政策の一種である。本研究は日本におけるこの種の政策が金融部門を通じて民間経済に及ぼす効果の大きさを検証した。そのために個別銀行の財務データをもとに、日本銀行による超過銀行準備の供給拡大に対して銀行が貸出などの資産選択をどのように変化させるかを計量経済学的に推定した。その結果、2000年代前半の量的緩和政策は銀行貸出を拡大させる効果を、弱いながらも持っていたことが分かった。一方、2013年以降の量的・質的緩和についてはそのような効果は認められなかった。ただし銀行の国債保有の変化を通じて影響があった可能性が指摘された。
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