研究課題/領域番号 |
15K03420
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
加藤 真紀 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化センター, 講師 (80517590)
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研究分担者 |
河野 銀子 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (10282196)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高等教育 / 女性 / 社会的効果 |
研究実績の概要 |
本年の最も大きな進歩は、2016年6月下旬に文部科学省から学校基本調査の2次利用申請が認められたことである。データ作成におおよそ3か月程度を要して、9月半ばに入手できたことで、大学への影響をみるためのメゾレベルデータが初めて利用可能となった。本研究にとって、この意義は大変大きい。データ入手後、早速、女子学生の増加が、大学院生および教員の増加を促す定式化を行い、データを加工した。大学の分類には、文献調査を基に大学院の規模等に関連する指標を用いた。同大学分類を用いて女子学生影響の有無と影響の発現の遅れに要する期間を分析したが、影響が混在する等解釈に留意すべき点も多く、モデルの精緻化を進める必要が認められた。今後、データの加工方法や分析手法も含めて、広く再検討する予定である。 学校基本調査の入手を待つ間、女子の進学行動も考慮に入れた分析を検討してたことから、学校基本調査の個票を使用し、進学移動と地域間格差について分析を行った。これは2017年度の分野別分析に関連することから、分析を継続する予定である。 さらに、2015年10月に総務省から入手した就業構造基本調査の匿名データを用いて、女子学生の増加と賃金の関係を調べてきたが、複数の切り口での分析にも関わらず、両者の間に正の関係は見られなかった。その1つの理由は、米国と異なり、都市部の切り分けが2区分と小さいことが考えられた。そこで、文献調査をさらに進めたところ、都市部における大卒女性就労の課題が浮かび上がった。そこで、その理由について分析し論文に取りまとめた上で2017年2月に米国学会で発表した。同論文は国際学会誌に投稿済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れている。当初は、2015年度にデータ入手を行い2016年度は2015年度の分析結果を踏まえて日米比較をする予定だった。しかしデータ入手が2年目に当たる2016年度の半ばと大幅に遅れたことから、日米比較に至らず米国における聞き取り調査も延期することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は、学校基本調査の個票を用いて、日本における学部女性学生増加がどのような影響をもたらすのか分析を進め、同年秋頃の学会発表と、学会発表で得られたコメントを踏まえた論文執筆を予定している。同論文には米国との比較分析も含める予定であり、そのデータセットの整備も行う予定である。昨年度は理工系で学ぶ女性が増えた影響に関する日米比較を予定していたが、その前段の日本における増加関係の分析結果の進展が思うように進まなかったため、未着手となっている。しかしこの分析は当初予定をしていた内容でもあり、日本の分析が済み次第着手する予定である。 2016年度、研究代表者と分担者は東京で複数回打合せを行った。テーマが学際的内容のため発表する学会や論文の選定およびデータの留意点などについて意見交換を図った。最終年度である2017年度は引続き定期的に打合せを行い、意見の集約を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ入手から生じた分析の遅れにより海外聞取り調査が未実施であったため
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次年度使用額の使用計画 |
日米比較を実施し、海外聞取り調査もしくは学会発表を実施する
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