研究課題/領域番号 |
15K03423
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
徳井 丞次 信州大学, 学術研究院社会科学系, 教授 (90192658)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 地域経済学 / 物価指数 / 生産性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的の一つは、都道府県間の産業別生産性格差の計測をより精緻化するため、都道府県間のサービス価格差を測定し、それを考慮に入れた生産性格差の再推計を行うことである。同時に、測定された都道府県間サービス価格差について、1人当たり生産性との相関の有無や、サービス産業内の産業別分解によってより掘り下げて分析することである。都道府県間の産業別生産性格差の計測は、既に労働投入の地域間賃金格差も考慮したうえで行っていたが、労働投入面で地域間価格差を考慮しながら、他方で産出側で地域間価格差はいっさい考慮しておらず、そのなかでもとりわけサービス分野については地域間価格差の考慮が重要との指摘を受けていた。本研究はこの点を補完する研究として位置づけることができる。また、デフレ傾向が続く中での物価動向に注目が集まっている一方で、その地域間格差については情報が不足しており、その面でも貢献できるものと考えている。 本年度は、まず「小売物価統計調査」から、広義のサービス業に該当する品目別価格原データを1955年から最近年までの毎年データ入力した。さらに、このデータを使って5年ごとにRao and Tinner(2000)らCountry-Product-Dummy Methodによってサービス産業内の各産業分野別に都道府県間サービス価格差を推計した。さらに、都道府県間サービス価格差を反映して都道府県別産業別生産性格差を修正する式と、その副産物として推計される産業ウェイトで集計された都道府県別価格差指数の式を導出し、推計によって求められたサービス産業内の産業別の都道府県価格差指数をこれらの式に当てはめて、修正された生産性格差指数と価格差指数を求めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は初年度中に、サービス産業だけでなく農林水産業分野についても地域間価格差指数に反映させることができるように、その基礎データである品目別データを「農村物価統計」からデータ入力し、これらを合わせた分析を行う計画であったが、データ収集作業中に「農村物価統計」からの品目別価格データの入力が予想以上に手間取ることが分かり、当初の方針を変更して、まずはサービス業分野に限って地域間価格差を考慮した生産性と価格差の分析を行うことにし、その範囲ではほぼ計画通り研究を進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、平成27年度まででほぼ推計と計算を終えた、サービス分野の地域間価格格差を修正した生産性分析と価格差指数を使って、その結果を検討し論文にまとめて発表することにする。それと並行して、農林水産業分野の基礎データの入力も続け、それが完了次第サービス業と農林水産業の価格差を同時に考慮した分析を改めて行うという二段構えで研究を進める計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では、サービス産業分野に加えて農林水産業についても、一度に品目別基礎データを入力し、推計と分析を行う予定であったが、農林水産業分野の基礎データの入力が膨大な作業になることが判明し、当初の計画を一部変更し、まず先にサービス産業分野に限って都道府県間の価格差指数の作成と生産性格差分析の修正を行うことにしたため、次年度への繰り越し金が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度は、既にデータ入力と推計作業が終わっている、サービス産業分野の地域間価格差に関する分析を進めて論文にまとめる一方で、農林水産業分野の基礎データの入力と分析を並行して行う二段構えの研究計画を進める方針であり、繰り越し分は平成28年度請求額と合わせて、これらのデータ整理と分析に使用する計画である。
|