本研究においては、第3種価格差別の社会厚生への影響に関する理論的検討、及び起業活動における性差に関する実証的検討を行った。第一に、寡占的第3種価格差別の厚生的特性を、非線形の需要関数を想定して検討を行った。その結果、価格弾力性、競争度指数、及び価格転嫁値といった基本的な性質が、社会厚生の決定に果たす役割の重要性が明らかにされた。第二には、独立起業と社内起業という二つの異なる起業活動に着目し、家族変数における性差よりも、雇用変数における性差の方が、起業活動における性差に与える影響が大きいことを見出した。
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