主な研究成果は、①金融開放は長期的に金融発展を促進するが、短期的に負の効果を及ぼす可能性がある。短期的な負の効果は銀行セクターの競争環境と相関しており、競争が活発であると正の効果を及ぼす。②金融発展は長期的に所得格差を縮小させるが、短期的にはむしろ拡大。危機への脆弱性が高く、ガバナンスの質が低いと短期的に所得格差を拡大。③海外からの金融ストレス・ショックの銀行貸出への波及効果は、銀行間の競争が活発でないほど負の影響が増幅され、逆に財務面での安定性が高いほど負の影響が緩和。④アジア通貨の米ドルとの連動は世界金融危機後に弱まっており、人民元との連動が2015年の管理相場制改革以降に強まっている。
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