研究課題/領域番号 |
15K03435
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
古松 紀子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60293685)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高等教育機関 / 生産性 |
研究実績の概要 |
27年度は,研究基盤となる内生的経済成長モデルを構築し,その動学的特徴付けを行った.さらに本研究は経済学のみならず統計学や教育行政学,学校経営学等の複数分野にまたがるため,それらの分野の研究成果や資料の収集を行い,翌年以降に行う実証研究の準備として,データベースの整備を開始した.具体的には以下のようである. 1 教育経済学や統計学,教育行政学関連の文献収集と,学校経営学,特に大学経営に関する理論及び実証的な研究成果と文献の収集を行い,これらの分野における知識を深化させた.それに基づき,シンプルな経済成長モデルをいくつか構築した.モデルが満たすべき要件としては,(i)供給者(大学)の合理的行動が明示的に取り込まれている,(ii)需要者(個人)の選択行動の変化によってダイナミクスの発生が崩れない,(iii)教育への補助金など政策課題が議論できる,(iv)実証分析の結果を反映させることが可能である,等が挙げられる. 2 日本の国公私立大学の投入・算出及び費用等に関するパネルデータを作成した.具体的には,国立大学については全大学に関して,大学法人に移行した平成16年度以降のデータを収集した.公立大学もすべての大学を対象とした.私立大学については,大学四季報(東洋経済新報社)に掲載されている代表的な約100大学に,地域別及び規模別の大学分布を考慮しつつ,データの利用可能性も含めて選択した約200大学をあわせ,総数約300大学のデータを収集した.期間は国立大学にあわせて平成16年度以降である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度は,研究基盤となる内生的経済成長モデルを構築し,その動学的特徴付けを行うこと,関連する分野の研究成果や資料の収集を行うこと,さらに翌年以降に行う実証研究の準備としてデータベースの整備を開始すること,を計画していた. 現時点で,おおむね計画通りに遂行できていることから,上記のように評価した.
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今後の研究の推進方策 |
1 27年度に準備を始めたデータベースを完成させ,日本の大学における生産性と効率性を,設置者,設置学部等の類型別に計測する.さらに,大学の生産活動の非効率を許容した上で,規模の経済性と範囲の経済性等の産業組織論的な特性を明らかにし,大学の最適規模や最適な組織編成についての知見を得る. 2 実証分析によって得られた結果から,日本の大学の生産構造と生産性及び効率性を規定する要因を解明する.そしてその特徴を,27年度に構築した経済成長モデルに反映させ,モデルのダイナミクスが崩れないか等を確認する. 3 大学の生産活動に非効率が存在するときの最適な大学システムや高等教育政策を分析する.具体的には,2を確認した後,既存の教育政策体系を導入して有効に機能するかどうかを検討する.その上で,各種の社会厚生関数を想定して,最適な高等教育政策を導出する.
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次年度使用額が生じた理由 |
資料やデータの収集にあわせて旅費等を経費として計上していたが,27年度は主に各大学の費用データを各大学のHPからダウンロードして収集したため,次年度使用額が生じてしまった.また,実証分析に必要な物品を初年度に揃える予定だったが,実際に使用する2年目に購入することにした.
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次年度使用額の使用計画 |
実証分析に必要な物品を購入する.また,大学HPでは入手できないデータに関して,ヒアリング調査を行うため、旅費として使用する.
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