研究課題/領域番号 |
15K03438
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤田 敏之 九州大学, 経済学研究院, 教授 (30297618)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国際環境協定 / 環境技術 / 自己拘束性 / 提携形成ゲーム |
研究実績の概要 |
本課題の研究目的は,汚染削減技術に関する国際的な協定の有効性について主に提携形成ゲームの枠組みを用いて理論的知見を得ることであり,具体的な研究テーマは,(1)R&D投資の不確実性,(2)ゲームのプレイヤーである国家の立場の相違(非対称性),(3)汚染による被害の不可逆性という3つの要因に焦点をあてた分析を行うことである. 平成28年度には第1のテーマで前年度に執筆した論文にさらに検討を加え国内学会での報告を行った.この論文については,現在学術雑誌への投稿を準備している. また第2のテーマでの研究を進め,1つの先進国と1つの途上国の間で行われる2国間クレジット制度に類似した技術協力をシンプルな非協力ゲームの枠組みでモデル化し,クレジット認証率が十分大きい場合に技術協力が両国の総厚生を高めるという結果などを得た.この成果を論文の形でまとめて,平成29年度に公表することを計画している. 平成28年度に公刊された著書(分担執筆)は本課題が採択される前になされた研究がベースとなってまとめられたものであるが,本課題と深い関係をもつ業績である.その概要は以下のようになる.一定の採択費用減少をもたらすのに必要なR&D費用が国際技術協定に及ぼす影響を分析し,協定加盟国数はR&D費用が低いときと高いときに大きく,いわゆるU字型の関数となること,協定が有効となるためのR&D費用の上限が存在すること,協定が有効である場合にすべての国が新技術を採択することが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題で掲げた3つのテーマのうち,2つについて研究成果を得ることができたため,順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
第2のテーマについての研究成果を論文としてまとめるとともに,第3のテーマに着手し,成果をあげるように努める.
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次年度使用額が生じた理由 |
予期せぬ私的な事情が発生したことから,予定していた国内学会への出張をとりやめたため,10万円ほどの繰り越しが生じることになった.
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越した分については,平成29年度の出張旅費にあてることが決まっている.
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