本研究の目的は 援助政策と不平等の関係性について検討を行うことである。従来から多くの研究が援助と不平等の改善、あるいは援助と経済成長の関係性について研究してきているものの、明瞭な結果を得ているとはいいがたい。そこで本研究では援助を貧困対策関連のものと経済政策関連のものに概念を分け、その比率を見ることで貧困対策に主眼を置いた援助政策が不平等の改善に寄与していることを示している。貧困対策関連の援助は経済成長率の推進にはあまり寄与していないことも同時に示唆されている。理論的な観点からは、子供に対する援助は出生率を高めること、教育コストの増加が熟練労働者になる比率を下げることが示されている。
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