研究実績の概要 |
本研究課題「産業ごとの産出の人的資本弾力性の差異と貿易構造に関する動学研究」は、各産業における産出の人的資本弾力性という概念を中心に、人的資本の動学的推移と各産業における雇用者数の変化ならびに国際的貿易構造の変化の関係を理論的に分析することを主たる目的としている。 今年度、この科研プロジェクトに関係する我々の論文が、Journal of Economicsに掲載された。その意味において、一定の成果を得られたと考えている。 さらに現在、この研究プロジェクトの基礎となる学術論文 "Human Capital Elasticity of Output, Comparative Advantage in Job Selection, and Persistent Income Gap" を完成させ、国際的学術誌に投稿を行っている。残念ながら、当該論文は現時点において掲載にいたっていない。しかしながら、なるべく早い掲載を目指して粘り強く掲載を目指して学術誌に投稿を続けている。 さらに、上記論文を応用した次のより一般的なモデルの分析も行っている。古典的論文である Dornbusch, et.al. (1997) "Comparative Advantage, Trade, and Payments in a Ricardian Model with a Continuum of Goods," American Economic Review Vo. 67, pp. 823-839. は、産業が連続的に分布している静学リカードモデルである。これを参考に、我々の上記モデルを、産出の人的資本弾力性が連続的に異なる動学モデルへの拡張に成功しつつある。極めて興味深い定常状態が得られており、こちらも有望な結果が得られつつあるので、引き続き研究を行って行きたい。
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