研究課題/領域番号 |
15K03445
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
後藤 宇生 北九州市立大学, 経済学部, 教授 (30324841)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 参入 / 退出 / 構造推定 / 仮想実験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、企業の参入行動について構造推定と仮想実験を使用して分析を行うことである。企業の参入は、社会にとって望ましいのか、それとも、参入に対して、政府は規制を行うべきなのか、経済学の理論的帰結は、仮定によって大きく分かれる。本研究では、格安航空会社等の参入がある航空輸送サービス市場のデータを用いて、価格、シェア、利潤、乗客数だけでなく、社会厚生(消費者余剰と生産者余剰)の観点から、参入の分析・評価を行う。 今年度は、まず第一に、データ収集を行い、集計された差別化された財の需要関数の推定を行った。第二に、新規参入等があった羽田と札幌間を例に2つの仮想実験を行った。 1)社会厚生からの分析:過剰参入定理より、市場が過剰に参入された環境から退出することで社会厚生が増加するケースが存在する。その確認を行うため、上記市場を例に分析を行った。結果として、ある競争環境では、過剰参入状態だったことが分かった。その結果を2015 ATRS World Conference、日本交通学会、日本海運経済学会において論文”Exit and Social Efficiency: Japanese Domestic Airline Market”の報告を行った。 2)参入の企業規模からの分析:企業規模、差別化の程度、限界費用を考慮して、参入による市場結果の違いを分析した。大企業が既存企業に存在し、そこに規模の小さな企業が参入した場合、価格競争が激しく行われても、大企業のシェアが増加することを示すことができた。その結果を論文“Entry of the Big and the Small: Japanese Domestic Airline Market”にまとめた。2016 ATRS World Conferenceに論文投稿し、発表が許可された。(2016年7月にギリシアで報告する予定。)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに、データ収集と推定、仮想実験を行った。その結果をまとめ、ATRS World Conference、日本交通学会、日本海運経済学会で報告した。順調に進展していると判断したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、論文発表と他の国内線を分析し、結果の一般化を行いたい。結果をまとめ、国際査読雑誌に投稿したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
学内の仕事により学会出張を幾つかキャンセルしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、学会報告等の機会を有効に利用したいと考えている。
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