第一に,日本銀行総裁の定例記者会見に関して自然言語処理の諸手法を適用した.白川総裁の裁量的な発言はDelphicなアナウンス効果をもち,黒田総裁の発言はマイナス金利政策の導入以降,裁量に傾き対話戦略が不調であることを明らかにした.第二に,国債管理の観点から,マイナス金利政策の法的規制理論,および正常化後の中央銀行のバランスシートの最適な規模および資産構成に関する研究を展開した.第三に,中央銀行総裁の選出が民主主義の赤字として認められてきた理由について政治経済学に説明した.第四に,格差是正のための最適な資本課税に関して,親から子への贈与が子の行動を律する側面を考慮した理論モデルを構築した.
|