本研究は、日中両国の経済成長をリードしてきた京浜地域と長江デルタ地域における「産業集積の広域化」の比較研究である。京浜地域の産業集積は、その後の生産拡大とインフラ整備に伴い京浜地区外へ、さらに国際的な産業調整に伴い、東アジアへと広域化した。本研究では、第1に、中国経済の中核都市・上海の産業調整を通して、産業集積が隣接する蘇州・無錫、さらに長江デルタ地域へと広域化したことが確認できた。第2に、現地調査を通して、産業移転の実態と関連政策の背景が理解できた。第3に、京浜地域と長江デルタ地域の産業移転の共通点と相違点を確認したうえで、日中間の産業・企業連繋のあり方を考察した。
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