本研究では,海上輸送サービスがもつ「貯蔵不可能性」や「派生的需要」という性質と不確実性下における市場参加者のリスク選好に着目し,非協力ゲームを用いて均衡価格式を導出した.この導出された式を用いて,価格と限界費用との乖離であるマークアップについて,市場参加者が要求するリスクプレミアムの部分と市場集中に起因する部分とに要因分解した.この結果,市場参加者がリスク回避的であるほど,市場集中度が低いほど,均衡価格が減少することが示された.さらに,不定期船市場における市場参加者のリスクに対する態度について,これを数値化(calibrate)し,それらが均衡価格に与える影響などについても分析・検討した.
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