研究課題/領域番号 |
15K03464
|
研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
伊ヶ崎 大理 日本女子大学, 家政学部, 教授 (10336068)
|
研究分担者 |
松尾 美紀 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (50437282)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 人口減少 / 出生率 / 集積 / 政治経済学 / 経済成長 |
研究実績の概要 |
平成27年度、平成28年度は主に学会報告を中心に行い、論文の精緻化を行った。平成28年度の後期、および平成29年度には、論文投稿などを積極的に行い、最終的に、3本の査読つき論文を成果として発表することができた。成果の第1に上げられるのは、"Precautionary public health, ageing and urban agglomeration" (Asia-Pacific Journal of Regional Science)であり、これは健康を維持するための政府の支出が高齢化や都市部への集積に対してどのように影響を及ぼすのかを検討した。成果の第2には、「地域間人口移動の政治経済学」(『九州経済学会年報』)がある。この論文では、都市と地方という複数の都市が存在する状況を考えた。地方都市の政府が当該地域において、相対的に多くを占める非熟練労働に対して、配慮するような政策を採ることにより、地方都市から都市部への熟練労働者の移動が生じ、その結果として、地域間の格差が広がってしまう可能性を示した。第3の成果は、"Migration and the role of ‘farmers’ in a two‐region model" (Regional Science Policy and Practice)である。この論文では、第2の論文をさらに貿易を伴うような状況へと拡張した。これは、例えば、EUにおけるドイツと一部の南欧諸国のような状況とみなすことが可能である。Peripheryとみなされるような国における保護主義的な政策が当該国における知識水準の高い労働者のCoreへの流出を招き、結果として、CoreとPeripheryとの格差を拡大してしまう可能性を示した。これらの論文は、今後における都市と地域の出生率を反映させるためのベースとなると思われる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のおいて、3つの査読つき論文("Precautionary public health, ageing and urban agglomeration" 、「地域間人口移動の政治経済学」、"Migration and the role of ‘farmers’ in a two‐region model" )を刊行できており、さらに伊ヶ崎・松尾ともに学会報告なども精力的にこなしている。そのため、残り1年において、投稿している論文の公刊することを目標としていきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに日本地域学会や日本応用経済学会などをはじめとする学会やさまざまなワークショップで報告した論文を投稿し、査読つき論文を公開することを目標とする。具体的には、これまでに書いてきた論文を学会報告などでいただいたコメントを参考にさらに拡張していく。拡張した論文は、さまざまな学会で報告する他、積極的に英文ジャーナルに投稿し、成果の交換を目指す。また、これまで交換してきた論文は理論的なモデルが中心であったため、これまでに収集したデータを下にして実証分析についても積極的に行っていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
申請者が学会報告に使用する予定にしていたものがあったが本務校の校務のため、学会参加を取りやめざるを得なくなったため、次年度使用とした。
|