伊ヶ崎は、国際地域学会(Regional Science Association International)発行の査読誌であるRegional Science Policy and Practiceに論文"Migration and the role of 'farmers' in a two-region model"を刊行した。この論文では、いわゆるCoreとPeripheryという複数地域モデルにおいて、Peripheryとなる地域の非熟練労働が居住する地方政府に対して再分配政策を要求することにより、当該地域の熟練労働者の生産性を下げ、熟練労働の大都市への移動と地域間の人口格差の拡大を生み出す可能性を示唆した。 当該論文で扱われている地域間の経済環境の差異が出生率の相違を生み出す要因となっていること、家計(特に人的資本の高い家計)の農村部から都市部への異動が地域間の格差を拡大し、子育て支援の財源となるような地方財政に対する少なくない影響を持つことなどを考えると、本研究課題の少子化と経済成長を複数地域モデルで分析するための土台の1つとなるモデルと位置づけることができる。現在進めている研究や今後の研究でさらなる拡張を行う予定である。具体的には、地域における政治的な行動が地域間の人口格差やそれを通じた出生率への影響について検討する予定である。幸いにも、2018年度から類似のテーマで科研費が採択されたため、今後の研究に生かす予定である。
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