研究課題/領域番号 |
15K03465
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
小黒 一正 法政大学, 比較経済研究所, 教授 (90598153)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | シルバー民主主義 / 財政赤字 / 世代間格差 / 選挙 |
研究実績の概要 |
少子高齢化の進展に伴う社会保障費の膨張や恒常化する財政赤字により日本の公的債務残高(対GDP)は急増し、社会保障費の削減や増税を含め様々な改革が提案されているが、財政改革や世代間格差の是正は容易に進捗しない。この背後には、多数派の高齢者層などに配慮した政策を政治が優先的に選択するという「シルバー民主主義仮説」が関係している可能性もある。このような状況の中、世代間問題を巡る解決の糸口として、「年齢別選挙区」「ドメイン投票方式」や「余命投票方式」等の新しい選挙制度の導入を求める提言も出てきている。このため、本研究は、「シルバー民主主義仮説」の検証を含め、こうした新しい選挙制度の導入が、各世代の意思決定を通じて、財政等に及ぼす影響を分析し、今後の政策立案に有益な情報を提供することを目的とすることにあった。 平成29年度においては、前々年度に投稿した海外査読誌の対応のほか、関連の調査研究を行いつつ、平成28年度に作成した新たな論文の投稿を行った。また、本研究との関係で作成・投稿を行っていた論文について、海外査読誌("Population Density, Fertility, and Childcare Services from the Perspective of a Two-Region Overlapping Generations Model", Economic Analysis and Policy, Volume 59, pp.29-39)に掲載を行った。なお、選挙制度改革とは別に、世代別の利害にとらわれないような意思決定を有権者に働きかける方法もある。それは、財政の長期推計などを担う「独立財政機関」の設置であるが、この一部の研究成果については、『財政と民主主義 ポピュリズムは債務危機への道か』(共著、日本経済新聞出版社)で執筆を行い2017年に発刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究の概要」でも記載したように、平成29年度においては、前々年度に投稿した海外査読誌の対応のほか、関連の調査研究を行いつつ、平成28年度に作成した新たな論文の投稿を行った。 また、本研究との関係で作成・投稿を行っていた論文について、海外査読誌("Population Density, Fertility, and Childcare Services from the Perspective of a Two-Region Overlapping Generations Model", Economic Analysis and Policy, Volume 59, pp.29-39)に掲載を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度においても、投稿中の論文のフォローを行いつつ、「年齢別選挙区」「ドメイン投票方式」や「余命投票方式」といった新しい選挙制度の導入が、勤労世代や引退世代の意思決定を通じて、世代間の資源配分や財政・マクロ経済などに及ぼす影響に関する分析を深める。また、本研究の周辺に関連する内外の第一線の研究者との意見交換を通じて、本研究のさらなる充実・深化を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) これまでの研究期間中、研究費を有効に活用したところ、当初予定よりも全体的な支出額を低く抑えることができたため。 (使途計画) 発生した未使用額の具体的な使途については、論文のブラシュアップのための資料取集や英文校閲、及び論文投稿料等に使用する。
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