1.ダイナミックファクターモデルによる分析:産業毎の特性を捕捉することのできるタイプのモデルを使った分析を行った。具体的には、データ全体に共通するコンポーネント、各業種に共通するコンポーネント、各国に共通するコンポーネントを識別する形のモデルを使って、先進諸国の産業別GDPや産業別TFPの動きの特徴を考察した。更に、FAVARモデルを使って、産業別GDPを各コンポーネントがどの程度説明できるかを分析した。 2.データセットの更新:2015年まで分析期間を延ばし、世界金融危機の影響を分析したり、対象国のカバレッジを拡げ、これまでの結果が基本的に担保されるかを確認した。加えてデータセット間でのデータの動きの差異が少なからず見られるため、その分析を行った。基本的には資本に関するデータについては、注意を要することが確認された。 3.学会等での報告:本研究の分析結果を学会等で報告し、研究者のコメントを得た。特に、世界的な生産性の低下は研究者だけでなく、一般レベルでの関心も高いことから、社会貢献的な観点から、ビジネス雑誌やオンラインでの記事に分析のエッセンスの紹介を行った。 4.データの質の問題については、本研究でも鍵となる部分であり、データ作成プロセスに関する調査なども行っていたことから、当該年度に発生した経済統計不正問題についても社会貢献を念頭に置いて積極的に発言を行った。新聞や経済雑誌での情報発信を行ったことに加え、日本記者クラブでの記者レクなども行った。
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