研究課題/領域番号 |
15K03470
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
浅井 澄子 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (00329476)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 書籍市場 / 専門書 / 大学図書館 / 学術雑誌 / オープン・アクセス / 引用回数 |
研究実績の概要 |
今年度は過去2年間に引き続き、単行本と文庫本という2つのフォーマットの関係を考慮した需要関数の推定により、需要の価格弾力性とフォーマット別の需要要因の相違、電子書籍の影響について実証分析を行った。その結果、単行本と文庫本の双方の需要は、価格に対し感応的であり、再販売価格維持制度については見直しの余地があることを明らかにした。この結果は、Publishing Research Quarterly, 33 (2),pp.147-159に掲載となった。 また、前年度に引き続き、製品差別化としての新刊書の発行と販売部数で測った市場規模との関係をインパルス反応関数で分析し、その結果を「縮小する書籍市場における新刊書発行」と題した論文に取りまとめ、『InfoCom REVIEW』第69号 pp.27-41で発表した。 2017年度からは、学術図書と学術雑誌にも分析対象範囲を広げた。専門書の需要については、「専門書の発行と大学図書館の購入」と題し、『政経論叢』第1・2号 pp.47-73、学術雑誌の価格に関する分析結果は、International Journal of Economics, Finance and Management Scienceに、オープン・アクセス・ジャーナルの引用回数については、International Journal of Business and Economics Researchと『Nextcom』に論文を投稿し、掲載となった。ハイブリッド・ジャーナルにおいて、論文をオープン・アクセスにすることは、ダウンロード回数を増加させるが、引用回数の増加は、ジャーナルが対象とする研究分野によって異なることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2017年度は、査読付き論文4本、査読なし論文3本が学術雑誌に掲載となっており、計画以上の成果といえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究計画の最終年度であり、主として以下の2点を行う。1点目は、これまでの成果を踏まえ、学術図書としてのとりまとめを行うことである。今年度中に学術図書の出版助成への申請を行う計画である。 2点目は、学術図書、学術雑誌に関する分析を進めることである。Elsevierなどの海外の大手出版社が発行する学術図書の価格設定方式に関する実証分析を行うことと、学術雑誌として注目を集めるオープン・アクセス・ジャーナルの経済分析を行うことが、今年度の主たる柱となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文のネイティブ・チェックを想定していたが、45,084円では不足するため、4月に入って発注した。既にネイティブ・チェックは発注し、この論文のジャーナルへの投稿も終えている。
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