研究課題
基盤研究(C)
日本では書籍の販売状況に関わらず、出版社が価格を設定し、書店は価格を変更することができない。このような価格拘束の合理性を検証するため、単行本のフィクションと文庫本のフィクションを対象に需要関数を推定し、需要の価格弾力性を計測した。その結果、フィクションについては、需要の価格弾力性は弾力的であり、一定期間経過後の価格引き下げは、出版社と書店の収入を増加させ、返品を減少させる可能性があることが示された。
産業組織論
書籍に対する再販売価格維持制度の歴史は日本では長いが、データで制度の有効性が検証されることはこれまでなかった。また、学術上でも、これまで実証分析が行われることはなかった。今回の需要関数の推定から、価格拘束の緩和は、出版関係者の収入増加と返品の減少につながる可能性があり、独占禁止法における再販売価格維持制度に見直しの余地があることが示された。