研究課題/領域番号 |
15K03475
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
松本 保美 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00201781)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | DDI / World Bank / UNIDO / ICT / CIP / ITU / SNA / HDI |
研究実績の概要 |
DDI(Digital Divide Index)を国連加盟国・地域を中心とした132カ国について作成した。公表データで作成するという基本方針のもとに、World BankとUNIDO(United Nations Industrial Development Organization)の公表データを用いたが、両者に共通する国・地域が132カ国で、現存の約200カ国・地域から見て、65%の充足率となった。必要データが入手不能な国は、主として、アフリカ、カリブ海、南太平洋の諸国で、基本的なSNA(System of National Accounts)データも整備されていないので、これらの国のDDI推計は今後も難しいだろう。 近年、インターネット、移動体通信機器の急速な発展・普及により、DDI評価の基盤が全産業、全市場に拡大したため、DDIの定義がSNAの定義と似たものとなり、適用範囲がHDI(Human Development Index)のそれとかなり重複することになった。ICT(Information & Communication Technology)のレベルを示す指標としてUNIDOのCIP(Competitive Industrial Performance)を用いているが、CIPは、今日急拡大しているネットワークシステムを介しての取引を計測できないので、今後DDIの定義に、ITU(International Telecommunication Union)などのデータを組み込む必要がある。 今までに判明したことは、CIPの経年変化が特定の諸国間内に閉じられているので、UNIDOのICTレベルに関する5分類評価よりも、本研究で示した14分類の方が明確である、人口の多い国の方がICTの普及に時間がかかり、人口の少ない国に追い抜かれていく傾向があること等である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗状況は概ね予定通りと言って良い。ただし、内容に関しては当初の予想とはかなり異なっている。まず、各国間の比較可能性を重視したため、国連加盟国・地域を中心に、国際機関の公表データを用いることにしたが、データ欠落・未整備のために、約35%の国・地域ではDDIの計測が不可能である。計測不能な国・地域は、アフリカ、カリブ海、南太平洋に集中している。これらの国は、いずれも経済規模が小さく、ICTレベルもかなり低いと想定されるので、DDIのレベルを世界全体として見た場合には、ほとんど影響がないと思われる。ただ、DDI計測の主旨から見ると、これらの計測不能な国の取り扱いは重要である。しかし、今回は、無視せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を締め括るうえで最も重要な点は、現在のDDIの定義に、近年急拡大するコンピュータ・ネットワーク・システムを介した取引の影響を組み込むことである。これらは、主としてBtoB、BtoCと呼ばれる電子取引であるが、特に、BtoC取引をどのようにDDIに組み込むかが重要になる。データとしては、ITUなどから公表されているものを使用することになるだろう。概念的にはあまり難しくはないが、データ編集が煩雑で、主たる労力はこの点に費やされると思われる。新しい定義でのDDI計測は、今年度中に終わらせることが出来ると思われるが、心配は、比較対象国・地域がかなり限定されるだろうという点である。OECD諸国から中位発展途上国位までは計測可能だが、それ以下の発展途上国に関しては難しい。当方の予想として、100カ国推計が出来れば成功と見做してよいだろう。
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次年度使用額が生じた理由 |
特に理由はない。残額が少額なため、次年度繰り越しとした。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越金は、書籍の購入もしくはプリンタのインク・カートリッジ購入の際に使用する予定。
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