研究課題/領域番号 |
15K03478
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
打田 委千弘 愛知大学, 経済学部, 教授 (50305554)
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研究分担者 |
竹田 陽介 上智大学, 経済学部, 教授 (20266068)
島袋 伊津子 沖縄国際大学, 経済学部, 准教授 (60435203)
渋澤 博幸 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70291416)
小巻 泰之 日本大学, 経済学部, 教授 (80339225)
上山 仁恵 名古屋学院大学, 経済学部, 准教授 (90295618)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ファミリービジネス / 事業承継 / インフォーマル金融 / 沖縄 |
研究実績の概要 |
本研究の問題意識は,沖縄県における社会的な独自性(家族間関係,地域共同体との関係等)と家計のリスクシェアリング機能との関係性について明らかにすることである.具体的には,フォーマルな「金融」取引と沖縄独自のインフォーマルな「金融」取引の共存関係について,アンケート調査のデータを用いて計量経済学的な分析を行うものである. 平成29年度においては,平成28年度に実施した宮古商工会議所と共同で実施したアンケート調査の結果を用いて,Aghion and Tirole(1997)の権限移譲モデルを用いて実証分析を行い,日本応用経済学会春季大会で報告を行った.推定結果としては,第一に,経営者が後継候補者(ご子息)を明確にすることが,後継候補者(ご子息)の努力インセンティブを高めることが確かめられた.第二に,経営者と事業承継候補者(ご子息)との信頼感(信頼効果)の上昇が,名目権限を委譲する確率を高めることが示された.最後に,事業承継を行う場合,地域のソーシャル・キャピタルとなる地域の魅力の向上が,ご子息の事業引継ぎ意思に一定の効果を持つという結果となった. また,那覇商工会議所と共同で実施した事業承継に関する簡易アンケート調査を,生活経済学会中部部会で報告を行った.調査結果から,以下のような傾向が示された.第一に,事業主の年齢が高くなるにつれて事業承継に対する関心度は高くなるが,後継者の決定状況などから判断すると,70歳代に入ってから本格的に事業承継プロセスに入っていることが窺われ,事業承継へのタイミングが遅れていることが分かった.第二は,個人事業の事業主に対しては,商工会議所等の公的機関から事業承継に関する積極的なアプローチが重要であることが分かった.第三は,業種間で,事業承継プロセスが進んでいる業種とそうでない業種が存在するということである.
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