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2016 年度 実施状況報告書

途上国発展と反乱抑制の実現に向けた政策提言‐援助は途上国を豊かにするのか?

研究課題

研究課題/領域番号 15K03484
研究機関立命館大学

研究代表者

青木 芳将  立命館大学, 経済学部, 准教授 (90572975)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードレントシーキング / 不正 / 紛争
研究実績の概要

2016年度は、様々な種類のレントシーキング活動下において、政策の有効性についての分析を行った。主な研究結果として、以下の2点が挙げられる。
1.資源豊富国での民主主義の維持可能性についての研究を行った。資源の呪いの発生原因については、為替レートの変化による自国産業の衰退が原因とされるオランダ病と、レントシーキングや紛争の発生による2つの流れがある。この研究ではAslaksen&Torvik(2006)を基に、資源と所得課税が紛争の発生に与える影響について分析した。この研究では、所得税が紛争レントの一部となるため、紛争を助長させるという結論を得た。研究成果は、立命館経済学 第65巻第1号(pp.1-11)に「所得税と天然資源が民主主義の維持に与える影響」として掲載されている。また、この研究を発展させ、紛争時には所得税が徴収でき無くなるモデルで、紛争発生と所得税率の関係についての研究を行っており、その研究は2017年度中の公刊を目指している。
2.談合とインフラの質選択についての研究を行った。インフラの質を決める官僚と工事を受注する企業の間で談合がある場合に、インフラの質低下とその影響について分析した。不正発覚後の罰則が重いケースにおいて、国外へ逃亡できないケースではインフラの質は改善するが、逃亡が可能な場合、かえってインフラの質を低下させる可能性があることを示した。根研究成果については、学術雑誌に投稿中である。2016年度は、これらの研究以外にも、資源豊富国において教育援助がうまく機能しない理由を、2部門成長モデルを用いて明らかにする研究を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

不正やレントシーキング、あるいは紛争が発生する理由は1つではなく、様々な要因が考えられる。援助の有効性についても、対象国の特徴を鑑みて分析を進める必要がある。例として、資源が豊富な途上国での資源レントや、インフラなどの公共事業における企業と官僚の談合などが挙げられる。現在までは、援助に限定することなく、不正や紛争が途上国発展に与える影響を調査・研究してきた。一連の研究の中で、資源豊富国で多発する紛争と税政策の関係についての研究として資源豊富国での民主主義の維持可能性と所得税の関係、および、談合とインフラの質選択においての研究を行い、それぞれ公刊論文として発表、および投稿中である。ここまでの研究では援助の分析がなされていないが、これらの研究成果を基に、援助が途上国の発展に与える影響と、その有効性について分析できると考えている。特に資源豊富国において、レントシーキングが発生しにくいとされる教育援助がなぜ有効に機能しないのかについての研究を行っている。

今後の研究の推進方策

現在まで、途上国における不正やレントシーキングが発生する状況や、紛争の発生理由についての調査及び研究を進めてきている。今後は、これまでの研究を基に、以下の様に研究を進める。
(1)Aslaksen&Torvik(2006)を基に、天然資源がある2部門成長モデルを構築する。このモデルにおいて、技術援助が途上国経済と紛争発生に与える影響を分析する。

(2)インフラ供給について、途上国政府に資金提供を行い自国で生産させる場合と、インフラ自体をドナー国が提供する場合で、途上国発展の経路がどのように異なるかを比較する。

次年度使用額が生じた理由

予定していた海外学会への参加、および複数回の研究会への参加ができなかったため、次年度使用額が発生した。

次年度使用額の使用計画

前年度に参加できなかった海外学会へ参加し、研究報告を行う予定である。また研究会にも積極的に参加し、2017年度の研究を進め、論文の完成を目指す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 所得税と天然資源が民主主義の維持に与える影響2016

    • 著者名/発表者名
      青木芳将 金盛直茂
    • 雑誌名

      立命館経済学

      巻: 65 ページ: 1-11

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公開日: 2018-01-16  

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