研究課題/領域番号 |
15K03484
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
青木 芳将 立命館大学, 経済学部, 准教授 (90572975)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 海外援助 / 資源の呪い / 教育援助 |
研究実績の概要 |
29年度は、資源の呪いと援助政策についての研究を行った。特に、資源豊富国において、教育援助が十分に機能しない理由について、途上国の国内資本蓄積による熟練労働者の需要不足から説明する理論モデルの構築を行った。製造業は、輸出し外貨を稼ぐための基幹産業である。国内の資本蓄積が不十分である場合、資本と労働の両方を用いる製造業においては、労働需要が伸び悩むことになる。途上国では、教育を受けた熟練労働者の雇用先は製造業であり、その労働需要が十分増加せずに教育援助を行うと、教育を受けた熟練労働者の賃金が低下し、教育を受けるインセンティブが低下し、経済発展を阻害する可能性があることを理論モデルを用いて示した。この場合には、教育援助だけでなく、途上国内の熟練労働需要を生み出す資本形成の手助けが必要になる。このためには、①治安の維持、②企業の誘致、③交通インフラの整備など、多岐にわたる援助を同時に行うことが必要である。この研究は、現在進行途中であり、論文が完成次第、各研究解答での発表と学術雑誌への投稿を行う予定である。また、この研究と並行して、途上国発展のため、どのように産業が変化していくのが良いかについて、研究を開始した。この研究では、現在発展を続けている小規模経済(アジア地域などの島国を中心とする)がたどった産業の変遷から、最適な援助政策の選択と変更時期について研究することを目的としている。この研究は、着手したばかりであり、現在資料収集を行っている段階である。この研究も、理論モデルを中心に論文を作成し、学術雑誌への投稿を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
29年度に生まれた子の育児で、十分な研究・資料収集の時間が取れなかった。特に、作成した論文や研究について、国内外の研究会で発表する機会を作ることが困難であり、予定していた期間よりも遅れている。一方で、モデル作成まで行っている研究もあるため、これらの研究を完成させることが中心になる。
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今後の研究の推進方策 |
29年度に引き続き、海外学会への参加や報告は難しいものとなる。その代わりに、国内で行われる学会・研究会等に、予定よりも多く出席し、報告の機会を確保する予定である。また、途上国発展を研究している他の研究者と連携し、サーベイ等の作業については分担するなどして効率的に研究を進めていく予定である。現在策進行している研究については、随時完成したものから、学術雑誌への投稿を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
29年度に生まれた子の育児のため、海外学会への参加・報告、及び国内研究会への参加が予定通り進まなかった。このため、次年度使用額が発生している。今年度は、研究成果発表のため、研究会・学会に参加する予定である。また、次年度使用額については、作成した論文の英文校正と英語論文作成ソフトの購入にも使用する予定である。
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