研究課題/領域番号 |
15K03485
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大川 昌幸 立命館大学, 経済学部, 教授 (50291761)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 国際寡占市場 / 貿易の自由化 / 関税引き下げ / 物品税 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、研究課題のもとで、国際寡占下での関税の引き下げ政策と国内の物品税の改革についての理論的研究を引き続き行った。その成果の一部は、研究者が共編者の一人となった著書、“Recent Developments in Normative Trade Theory and Welfare Economics,” Binh Tran Nam, Makoto Tawada and Masayuki Okawa eds. Springer (forthcoming in May, 2018)の第4章に収められた論文“Welfare Effects of Trade Liberalization and Coordinated domestic sales Tax Reforms under International Oligopoly,” (by Masayuki Okawa and Tatsuya Iguchi)として発表できた。本論文では、国内と海外の輸出企業および国内に進出してきた外国企業の3つのグループが競争する寡占市場において、関税と物品税を課している状況から、市場開放政策により関税をゼロの水準まで下げてゆくとき、国内物品税を最適な水準に調整する政策をとるときの組み合わせの在り方について、厚生最大化と政府収入を一定に保つ場合に分けて分析して、興味深い新しいいくつかの結果を示すことができた。 また、現在、国内の寡占市場で差別化された財を供給する寡占企業が、生産に必要な中間財を海外の独占企業から輸入する垂直貿易モデルで、政府が中間財に対する関税と、国内企業へ利潤税をかしている状況で、政府の関税引き下げと利潤税の引き上げによる厚生効果を、国内企業がCournot競争とBertrand競争を行う2ケースに分けて比較分析を行い、興味深い結論を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記研究実績の概要で示したように、本年度は当初の研究計画での研究テーマの一つの課題の研究が、“Welfare Effects of Trade Liberalization and Coordinated domestic sales Tax Reforms under International Oligopoly,” (by Masayuki Okawa and Tatsuya Iguchi)として発表できた。 また、国内の寡占市場で差別化された財を供給する寡占企業が、生産に必要な中間財[あるいは原料]を海外の独占企業から輸入する垂直貿易モデルでの、関税の引き下げによる貿易自由化とそれに伴う企業の利潤税および消費税の改革についての分析も、井口達也氏との共同研究で興味深い結論を得ており、海外のjournalに投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
国際寡占市場を含む垂直貿易モデルでの、関税引き下げと国内税制度の改革の分析をさらにモデルを拡張できればと考えている。いくつかの拡張の方向を検討中である。 また、これまでの研究では、政府の関税あるいは消費税収入などが消費者等に暗黙的に再分配されることを仮定していたが、政府が収入を公共財の供給に使用する場合の関税引き下げ及び国内税制改革の効果について分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年9月に老齢の父親が逝去し、それに伴ういくつかの法事、手続き・整理及び老齢の母親の生活および身体介護のために、実家と自宅を頻繁に往復した。その為に、予定していた国内外の学会、コンファレンスなどに出席できず、予定していた助成金の執行計画を変更せざるを得なくなった。 今年度予定している、国内学会、ワークショップ、国際コンファレンスの出席等で執行する予定である。
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