平成30年度は研究期間の最終年度であるため、研究計画の研究テーマをを完遂すべく、研究課題「不完全競争下での四條開放政策の多様化と税制改革を含む公共・産業政策の理論的研究」の下で、研究計画に従って残されたテーマの研究を進めた。 本年度では、国内の寡占企業が、海外の企業から生産に投入する中間財を輸入し、最終消費財を生産し国内市場に供給する垂直貿易モデルについて分析を行った。政府は輸入中間財に関税を課しており、また寡占企業には利潤税を課している。そして、貿易の自由化政策により、関税を引き下げた場合に、政府の税収入を引き下げることなく一定に保つ条件の下で、利潤税の引き上げを行う政策の厚生効果を理論的に分析した。 この場合、中間財を供給する海外企業が、競争市場の企業である場合と、海外独占企業である場合の二つのケースを分析した。後者の中間財が海外独占企業により供給される場合は、前者のケースより分析が複雑になるが、いずれの場合にも、厚生効果は、関税引き下げ前の初期の関税水準と関税の引下げ幅の大きさに依存して、この貿易自由化と国内利潤税の改革の厚生効果が異なることが明らかとなった。そして、本研究では、上記二つのケースについて、厚生効果を決める関税の初期水準と関税の下げ幅の二つの閾値を明らかにした。 また、外国企業が国内市場に参入する際の合弁企業(Joint venture)を設立する際のパートナー選択と外国企業の出資比率規制の理論的研究についても、ほぼ研究を終えることが出来た。
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