研究課題/領域番号 |
15K03489
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
内田 智裕 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (50330220)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 縫製工場 / ミャンマー / バングラデシュ / 中国 / ベトナム / 人的資源管理 |
研究実績の概要 |
2017年8月には、同一のグループ日系企業のバングラデシュとミャンマーの縫製工場を訪問し、日本人経営者管理者と面談調査を行った。調査の第1の目的としては、女性労働者に対する人的資源管理制度がどのように構築されているのかを明らかにすること、そして第2に生産拠点の違いが競争戦略にどのような影響を与えているかを考察することであった。2017年3月には同じ日系企業の中国工場も訪問しており、生産拠点の異なる3ヵ国の人的資源管理制度を中心とした戦略的比較を、今後論文にまとめたいと考えている。また、2017年8月にフィリピンを訪問し、日系企業が進出している工業団地などを視察した。訪問の理由は、中国プラスワンとしての生産拠点として、フィリピンに進出している日系のアパレル企業が増えてきているという情報を得たからである。民主化が進んでいる同国は以前、賃金の上昇率も高く治安の面でも問題が多かった。しかし、ある企業家によれば、ドウテルテ政権の誕生前後から過激な労働組合の取り締まりが進んでおり、賃金の上昇率が抑えられており、日系企業の多くが進出を考えているということであった。先に挙げた日系企業も中国工場をすべて閉鎖して、フィリピンのマニラに新工場を建設するということであった。昨年フィリピンを訪問した際、現地系の縫製工場を1件視察した。その際、経営者が吐露した問題点は人材、技術に関わる問題よりも、如何にして低い金利で安定した資金調達を行うかであった。中小の縫製企業においては簡単にはフォーマルな金融機関から融資を受けることができないので、マイクロクレジットを利用する経営者も少なからぬいるということがわかった。このあたりの問題は次の研究課題として取り上げたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展しているが、出張時期の校務も忙しくなっており、状況によっては研究期間をもう1年延長申請する可能性もある。
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今後の研究の推進方策 |
縫製企業における生産拠点の違いが競争戦略にどのような影響を与えているかを考察するために、中国、ミャンマー、バングラデシュ、ベトナムの工場を訪問してきた。今年はその総括として、日本本社において会長または社長との面談を行って、研究成果につなげたいと考えている。また、中国プラスワンとして日系企業から最近注目されているフィリピンを訪問し、次の研究シーズも見つける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
企業訪問に係る出張が先方の都合により、平成30年度に延期したため。
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