研究課題/領域番号 |
15K03492
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
新海 哲哉 関西学院大学, 経済学部, 教授 (40206313)
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研究分担者 |
大川 隆夫 立命館大学, 経済学部, 教授 (10258494)
岡村 誠 広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (30177084)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 外国為替リスク / 生産費用リスク / 国際寡占競争 |
研究実績の概要 |
為替リスク不確実性下の国際寡占企業が国外・現地での最適生産配置、海外直接投資に関する理論研究の先行研究、Lee and Wen(2011)、Weil(2009)、Lahiri and Messa(2006)を吟味し、現地生産に伴う生産費と外国為替リスク(外国為替レートが対数正規分布にしたがうとき、Brander and Spencerの三国モデルにおいて、為外国替リスク変動が均衡価格、均衡需給量等に与える影響に関して分析したLahiri and Messa(2006)に改変を加え、国際寡占企業が本国内外の寡占市場で採る戦略的行動を、自国内のみで財を生産する自国企業と国内市場で寡占競争すると同時に、海外市場のみで財を生産する外国企業と輸出あるいは現地生産により寡占競争する国際寡占企業を考え、為替リスク、現地生産による生産費用リスクを明示的に考慮した2つの寡占市場モデルを構築して市場均衡を導出した。そして、外国為替リスク変動が国内外均衡価格、国際寡占企業、自国企業、外国企業の均衡生産量、利潤に与える影響を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析課題研究の第一段階として、Lahiri and Messa(2006)によるBrander and Spencerタイプの三国寡占貿易モデルに外国為替リスクが寡占貿易均衡に及ぼす影響を分析したモデルを改変・拡張し、自国内市場と外国市場に直接投資を通じて財を供給する国際寡占企業が、自国、外国市場でそれぞれ自国、外国国内のみに同一財を供給する2つの複占市場で競争するモデルで、外国為替リスクが両市場均衡に与える影響を分析できるモデルを構築した。こうして分析の前提となる基本モデル構築ができ、外国為替リスク変動が、国際寡占企業の自国複占均衡、外国複占市場均衡の均衡価格、自国企業、国際寡占企業、外国企業の均衡生産量、利潤等に与える影響についての吟味ができ、次に外国での生産費用リスクの効果を加えた分析に拡張する準備はできているので、おおむね順調に研究計画が進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
27年度構築したモデルに、中間財(部品)寡占企業と国際寡占企業の垂直的取引を両面市場モデル、多面市場モデルで扱い、Lee and Wen(2011)、Weil(2009)等の文献研究を参考にして、理論モデルを統合する。さらに、この中間財企業が、現地生産する国際寡占企業に中間財を輸出する際、為替の影響を受けるため、現地生産による生産費用は、自らのリスク変動に加え、中間財の価格を通じて為替変動リスクという2重のリスクを負う可能性が生ずる。これらを明示的にモデルに組み込んで、価格を戦略変数とする寡占競争を考え、そのリスク変動が、国内中間財寡占市場、国内の財寡占市場、外国の財寡占市場の3つの寡占市場均衡に及ぼす影響を理論的に明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
欧州での学会報告を予定していたが、学会報告締め切りまでに報告論文の完成度を上げるための成果のまとめに時間がかかり、2016年度以降に報告を延期した。また、英文校閲や国内調査の日程調整がうまくできず、調査旅費等の執行ができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度には2015年度の分析で得た成果に加え、2016年度で新たに出る研究成果を研究論文にまとめ、欧州産業学会での研究報告を行い、そこでの内外の研究者のコメントを考慮して、論文にまとめ、査読付き国際学術専門誌に投稿する。また、政策への成果の応用を考えるため、国内の調査やヒアリング等も実施して、政策研究への拡張につなげる予定である。
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