研究課題/領域番号 |
15K03493
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
石川 路子 (伊藤路子) 甲南大学, 経済学部, 准教授 (10379464)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Quality of Life / 都市化 / 社会関係資本 / 知的資源・人的資本 / 都市基盤 |
研究実績の概要 |
本研究は、都市化が生活の質(Quality of Life; 以下、QoL)に与える影響を(1)社会関係資本、(2)知的資源・人的資本、(3)都市基盤という3つの構成要素の観点から分析するものである。都市化のQoLに対する影響はさまざまな分野で研究されているものの、学問横断的に研究されていることもあり、未だ明確な結論が得られていない状況である。このような背景を受け、本研究では、既存の研究を体系的に分類した上で、QoLに影響を与える都市の要素をより細かく分解し、これら個々の要素がどのようにQoLに影響を与えているかをより精緻に分析することを目的としている。最終的には、人々のQoL向上に資する都市政策とは何か、またQoLの観点からの最適都市を提言する。 研究初年度にあたる平成27年度は、本研究の目的を達成するため、これまで培われた研究を整理し、本研究に必要な評価指標の候補を選定する期間とし、都市の要素とQoLとの相関を、関連の先行研究を学問横断的に整理・分析を行った。具体的には、さまざまな海外の査読論文誌に掲載された研究論文を収集、類型化を実施した。今年度の研究で得られた結論としては、海外の研究結果を概観したとき、同国、同地域でも、都市の要素がQoLに与える影響には一貫性がないことが明らかとなった。この大きな理由として、各研究によって(1)異なるデータ(個票データ、マクロデータ)が用いられていること、(2)時間軸が異なること、(3)QoLの評価尺度が異なること、などが明らかとなっている。また、日本のデータを用いた、都市とQoLの関係を分析する論文はほとんどなく、研究の余地が残されていることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の成果については、予想を上回る早さで書籍化することができた。当初予定していた、海外の研究者との共同研究の打ち合わせを目的とした海外渡航が実現できなかったが、メールなどのツールで代替することによって、研究を計画的に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今回の類型化に基づきながら、実際にデータを用いた分析を行っていく予定である。なお、今後海外の研究者と、どの国を対象とした分析を行うかなど、協議しながら検討していくものとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外テロ等の関係で、海外の研究者との共同研究、国際学会発表のために確保していた予算を執行することができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、今年度の分を含めて、海外研究者との共同研究のための打ち合わせを実施すると同時に、その成果について国際学会・国内学会にて積極的に発表する機会を持つ予定である。なお、国際学会の候補としては、ERSA 56th Congress 2016、63rd NARSC Conferenceである(出張先としては、ウィーン(オーストリア)、ミネアポリス(アメリカ)である)。また、国内学会としては、日本応用経済学会秋季大会(慶應義塾大学・東京)、応用地域学会(神戸大学・神戸)等を予定している。
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