平成29年度には、平成28年度に構築した企業の国際技術連携に関するデータベースを用いて分析を行うとともに、さらに詳細な情報を得るため企業の国際技術連携に関するアンケート調査も実施した。具体的には、まず質問票の作成および業務委託先の選定を行い、研究開発活動に力を入れている全国の企業に対して郵送方式で質問票を送付した。質問票の回収後、回答の集計・整理作業および結果の分析作業を行った。 分析の結果、中堅中小企業の国内外の企業・大学・公的研究機関との研究開発面での技術連携においては、①大企業の行っている連携に比べ、顧客やサプライヤー企業など取引相手との連携が中心となっており、同業他社との連携は相対的に少ないこと、②国内大学との連携は広く行われている一方、海外大学との連携は非常に限られていること、③中堅中小企業の海外組織との外部連携は海外市場での売上の増加を目的としている割合が特に高いこと、④中堅中小企業による外部連携の実施においては、国や地方自治体からの公的支援の果たす役割が特に大きいこと、⑤中堅中小企業による外部連携の実施は、当該企業の立地する地域の経済へのポジティブな影響が特に強く認識されていること、などが明らかになった。これらの結果により、中堅中小企業の行っている技術連携戦略の特徴が明らかになるとともに、公的支援により後押しされた技術連携が企業の立地する地域経済の活性化につながっている可能性を示したことなどが本研究課題の重要な意義である。 これらの研究成果は、学会において発表されるとともに、国際的な査読付き学術誌に論文として掲載され、またワーキングペーパーの形で公表された。
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