公益財団法人家計経済研究所『消費生活に関するパネル調査』を活用し、日本における1990~ 2010年代での世帯間・世帯内資源配分問題、①妻の働きが所得の世帯間格差に与える影響、②消費の世帯内格差に関する実証研究を行った。分析の結果、妻の稼得所得が、世帯間の所得格差を縮小させ、出産前後に妻が就業継続することでも、世帯間での格差が縮小することが確認された。また通常の等価尺度を想定した不平等度尺度と各世帯員の消費情報に基づいて計算した不平等度尺度を比較すると、前者では尺度の数値が過小推定され、また後者の尺度を利用すると、妻が就業し世帯内の所得源泉の変化が世帯内格差を解消することが確認された。
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