我が国のエリート形成に学歴は欠かせない。一流企業に入社して役員のポストを獲得する地位達成プロセスは,まず一流大学を卒業することが前提となる。 このプロジェクトでは,学歴主義志向が近年において強まっているのか弱まっているのかを計量分析を通して検証した。具体的には1991~2016年までの100万件以上の役員ミクロデータを使い,いわゆる一流大学別に役員輩出率を時系列に推計した。 その結果,一流大学卒業者が役員になる確率が軒並み低下していることが示された。つまり,学歴が地位達成に果たす役割は弱まっている。結果は,近年における地位達成と社会移動が学歴主義から実力主義に移行していることを示唆している。
|