研究課題/領域番号 |
15K03508
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
後藤 励 京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10411836)
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研究分担者 |
加藤 源太 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20571277)
田村 寛 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40418760)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 医療経済学 / 医療費 / 医療政策 / レセプト |
研究実績の概要 |
今年度は、①画像診断技術の普及に及ぼす病院間競争の影響 ②レセプトデータを用いた治療実態や疾患医療費の分析を行った。 高度医療機器の普及と使用について、レセプトデータを用いる分析の前段階として医療機関から得られたデータを用いて、日本において他国に比べて人口あたりの機器数が多いMRI、CTといった画像診断技術の普及要因の探索をおこなった。具体的には、地域の医療機関競争度と読影を含めた総合的な画像診断技術の普及の関連を分析した。その結果、総合的な高度画像診断技術の導入に競争が有意な影響を与えていることが判明したサブサンプル分析の結果より,民間病院では競争と導入は有意に関係する一方,民間以外の病院では競争と導入は有意に関係しないことが示された。競争激化によって医療技術の使用が増加し、医療の質を改善しない場合まで技術適応が拡大されるのであれば、競争は医療の質にむしろ悪影響を与える可能性があることが示唆される。 レセプトデータを用いた分析については、全国のレセプトデータのデータベースであるナショナルデータベースを用いて、糖尿病網膜症などへのレーザー治療の実態調査を行った。疫学、医療情報学、眼科学の各分野の研究者と共同研究を行うことで、レセプトデータ分析上の注意点について詳細に検討した。また、レセプトデータで得られた情報と臨床情報の乖離についてレセプトデータの妥当性の検討が今後重要となるが、こちらについても文献的検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は実際にレセプトデータを用いた研究に着手できた。また、レセプトデータ以外の医療の個票データを用いることで、レセプトデータを用いることで同様の分析を行う際、異なる観点からの分析が可能となるかどうかについても事前に検討を行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、レセプトデータや類似データをもちいた政策評価の研究に着手する。また、臨床・公衆衛生研究者とのネットワークを拡大することで、レセプトデータの医療経済研究への応用性を高めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
差額は少額ではあるが、予定していた国内出張で来年度以降に変更したものがあったため。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度より代表研究者が他大学に移動するため、打ち合わせ等の国内出張が当初予定より増えることが予想される。
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