研究課題/領域番号 |
15K03508
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
後藤 励 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 准教授 (10411836)
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研究分担者 |
加藤 源太 京都大学, 医学部付属病院, 准教授 (20571277)
田村 寛 京都大学, 国際高等教育院, 特定教授 (40418760)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 医療経済 / GIS / 距離 / 依存症 / ギャンブル / 生活習慣 |
研究実績の概要 |
昨年までは、DPCやレセプトデータを用いた医療政策の評価研究、自治体の医療費助成が医療需要に与える影響を分析した。今年度は、医療政策の評価研究として、地理的なアクセスのアディクションへの影響を分析した。 現在、IR(統合型リゾート)建設に際してカジノを併設するかが政策課題となっている。カジノは地域経済に消費拡大に伴う雇用増加などで正の影響を与える可能性があるが、ギャンブル依存の増加による負の影響も無視できない。医療経済学では、ギャンブル依存以外にも酒販店のアルコール依存に対する影響、ファストフード店の肥満に対する影響など、消費地へのアクセスの与える影響が分析されてきている。 日本での研究はほとんど見られないため、今年度はパチンコ店へのアクセスがギャンブル依存のリスクを高めるかどうかを検証した。 方法は、6500人の成人に対してインターネットによる調査でギャンブル依存のリスク指標を調査した。回答者の郵便番号と全国のパチンコ店の住所データから距離を調べ、距離とギャンブル依存のリスクの関連を操作変数法を用いて分析した。分析の結果、自宅から近い範囲にパチンコ店があると、男性や低所得者ではギャンブル依存のリスクが高まることが示された。 本結果からは、ギャンブル依存のリスクには距離が影響する可能性が示唆されており、その影響は男性と低所得者で有意であった。医療政策の上からも今後のギャンブル施設の場所に関する議論が必要であることを示している。
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